あなたの心を❤️で満たして
初めまして。旦那さま
翌朝、緊張した面持ちでお披露目式のあるホテルの控え室に座っていた。

朝は六時から電話で叩き起こされ、「お迎えに行きますので」と三上さんから指示を受けた。

荷物はほぼ無いに等しい状態で、何を着て行くべきかと迷ったけれど、自分はまだ喪中だというのを思い出し、取り敢えずはブラックフォーマルのワンピースでいいか…と判断した。


晴れやかなお披露目式に向かうのにブラックフォーマル。相手の人が見たら、どれだけ嫌味なんだと思うだろう。



「でも、仕方ないよね。これが一番の正装だもん」


ワンピースに袖を通し、背中のファスナーを上げて部屋の鏡の前に立つ。
ストレートの黒髪をそのままにしていたら、まるでお菊人形が洋服を着てるみたいで何だかおかしい。


「どうしよう。上げる?」


髪を手で纏めて頭の上に乗せてみた。
何だかお葬式の時みたいだと思って下ろし、編んでみるか…と三つ編みにした。


「今度は女子中学生に戻った様な感じ」


どうすりゃいいんだ。
そろそろ三上さんが迎えに来ると言っていた時間なのに。

鏡を見ながら焦り、仕様がないからポニーテールでいいや、と決めた。


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