冷徹社長の容赦ないご愛執
極甘社長の、容赦ないご愛執。
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「佐織」


 大好きな人の声に呼びかけられて、重い瞼を頑張って持ち上げる。

 まだ薄暗い中でも、私を愛おしそうに見つめてくれる切れ長の瞳を見つけて、胸がきゅんとした。


「おはようございます……」

「ああ、おはよう」


 いつ寝室のベッドまで来ていたのか、記憶が定かではない。

 思い出そうとする記憶にあるのは、社長の熱い眼差しと、ふたりを包む火照った空気。

 そして、今まさに彼がくれる、やわらかくて甘い口づけだ。


「大丈夫か?」


 そっと唇を解放され、私を気づかってくれるやさしさに、頬を熱くしてこくりとうなずいた。

 正直、誰にも触れられたことのない体は重くて、かすかにヒリつくところはある。

 だけど、それが辛いかと言ったらまったくの逆で、幸せに満ち足りていたから社長の気づかいに返した答えは嘘ではなかった。
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