冷徹社長の容赦ないご愛執
「I appreciate your hard work today.」
<今日はご苦労だったな>

「No, Because it is the work of the secretary to assist the president.」
<いえ、社長の補佐をするのが秘書としての仕事ですから>


 一年前から会議のたびに聞いていた滑らかな英語は、この人の聡明な雰囲気によく似合っている。

 こんなふうに、やさしく労いの言葉を掛けてくれるような人だとは思ってもみなかったけれど。


 そうだ、今日は……橘勇征という人の意外な一面をたくさん見せられた。


 幼少期から米国生活をしてきた帰国子女は、お寿司が好物だとか、血も涙もない冷血漢のイメージが強かった仕事人間が、じつはちゃんと人として話ができる人だったとか。

 なにより――……
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