【完】Kiss me 社長の秘密と彼女のキス
「とりあえず、今日帰ってきたら荷物とか取りに行って、細かい事はそれから話そう。俺は今日ちょっと会社行くけど麻耶よりは早いと思うから。とりあえず遅刻はまずい。行こうか」
「はい」

ふたりでマンションを出ると芳也に近くまで送ってもらい、麻耶はお礼を言って車を降りようとした。
「麻耶、待って」
「え?」
すでにノブに手をかけていた麻耶は、無防備に振り返った。
スルリと口内に入ってきた芳也の舌にビクリと肩を揺らすと、優しく麻耶の舌は絡めとられ、下唇を食まれ最後にチュとキスをしされて、麻耶は真っ赤に頬を上気させた。
その表情を満足げに芳也は見てニコリと笑った。
「いってこいよ」
「もう!いってきます……」
少し睨むように見上げた麻耶に芳也は、そっと耳元で、「今日の夜は寝るなよ」そういってさらに麻耶の顔は真っ赤になった。

「返事は?」
麻耶はその返事と言わんばかりに、身を乗り出すとチュッと芳也にキスをした。

麻耶からされたキスに驚いたような表情をした芳也に、「芳也さんこそ寝ないでくださいね!」そう言うと麻耶は車を降りた。


(キス……しすぎじゃない?)

麻耶は上気した頬を手でパタパタと冷ますように扇ぐと、ゆっくりと会社へと歩き出した。
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