来ていいなんて言ったくせに、自分がまだ服を着ていないことに気付いて、焦ってキャミソールとハーフパンツを着た。

髪の毛は乾かしていないからびしょびしょで、タオルを頭からかぶった。

この前みたいに風邪をひいても困る。


インターホンが鳴って、ゆっくりとドアを開いた。

ドアの向こうには、別れた時と同じ、気まずそうな表情の龍二が俯き加減に立っている。


全く動く気配のない龍二に焦れて声をかけた。

「…入りなよ」

「…うん。お邪魔します」

付き合っていた時は言わなかった『お邪魔します』なんて他人行儀な言葉に少し違和感を覚えながら、龍二をリビングに通した。


なんだかフラフラしている。

お酒、飲んでるのかな…?

お風呂あがりで喉が渇いていたからアイスコーヒーを淹れて、龍二の分もテーブルに出した。

「…で、何の用?」

ソファの斜め向かいに座り、曇った表情のままの龍二の言葉を待つ。

しばらくの沈黙の後、ガタッと大きな音がして、私は龍二に抱きしめられていた。

そのまま龍二の体重で床に押し倒され、頭を思い切りぶつけた。

「ちょっと龍二…どういう…」

「やっぱり歩美が好きなんだ。俺とヨリを戻してほしい」

「何を…」

唇を押し付けられ、強いお酒の匂いが鼻をかすめた。


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