意地悪上司は私に夢中!?
『ふうん。それ恋じゃん?』

「は?」

電話越しに聞こえる綾乃は何かを食べているらしく、ポリポリと音がする。

「だから…キスもホテルも断っちゃったんだってば」

『違う違う。その人じゃなくて、永瀬さんに』

「…うん」

『あれ?案外あっさり認めるね』

意外そうな綾乃の声。

「実感はあったんだよ。
でもちゃんと告白するタイミングを逃しちゃってたというか…」

『んー…向こうに彼女ができたのかもしれないけど、今まで通り悪態つかれるような関係でいたいなら、話をしたほうがいいかもよ?
見られちゃったけど、結局透くんは彼氏にはならなかったわけでしょ?
その辺も含めてさ』

「…うん…」

綾乃の言葉にうなづきつつも、今更透くんの話をして何になるんだろう、と思う。

そんなこと、きっと永瀬さんは興味ないだろう。




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