大剣のエーテル

*“悪魔の子”の真実



「急に曇ったね。雨が降ってきそうだ。」


「…神様がやめなさいって私たちに言ってるんだよ。」


「この世に神様なんているわけないでしょ。実際にいるのは、サンタくらいだよ」


未だにどうも掴めない彼は、自信たっぷりにそう私に言った。


(…これは本気で言ってるよ。どこかズレてるんだよなぁ、この人は。)


正論なのか、ボケなのか分からない会話が繰り広げられた所で、私たちの目の前に現れたのは、丘の上に建つ一軒の家だった。


「…やっぱりやめない?」


「当たって砕けてみるのもいいもんだよ?もしもの時は俺が一晩中なぐさめてあげるから。」


砕けること前提で話が進んでいるあたり、やっぱり隣の男も勝機はないと踏んでいるのかと思ってしまう。

終始落ち着いている様子のランバートは、ダーナさんの家の扉をまっすぐ見つめていた。


「ねぇ。…どうして、ついて来てくれたの?」


私の問いかけに、彼はこちらを見ずに答える。


「ノアちゃんのこと、放っておけないからに決まってるでしょ。」


本心か冗談か分からない言葉に疑念の視線を送ると、ランバートはぽつり、と呟いた。


「…あと、この町の町長さんがどんな人なのか…気になってね。」


そのセリフは、耳を澄ませないと聞き逃すほどであったが、私はその言葉と共に確かに隣の青年の雰囲気が変わったことに気がついた。

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