悪役令嬢の華麗なる王宮物語~ヤられる前にヤるのが仁義です~
(これは王太子妃となったオリビアのお披露目だ。俺の言葉など不要だな……)

そう考えたレオナルドは挨拶を諦めて、群衆に向けて笑顔で手を振った。

オリビアも自然な笑みを口元に浮かべ、彼に倣う。


そういえば、彼女は王城に住まうようになった当初、笑顔を作るのが下手だったと、レオナルドは一年ほど前に思いを馳せる。


オリビアが城にやって来たのは、彼女の父であるオルドリッジ公爵の企みであった。

それは娘を王太子妃にさせるために、ふたりの仲を近づけようとする策略だ。

オリビアとしては気が乗らなかったのであろう。

レオナルドに対しても、ひどく愛想のない対応をしていたものだった。


けれどもレオナルドは、あの時から彼女を妃とすることを考えていた。

いや、もっと前。彼女に初めて出会った時から、彼の心は既に決まっていたようなものだ。


ふたりの初対面は、レオナルドが十八歳、オリビアが十一歳の頃であった。

オルドリッジ家の晩餐会に招待されたレオナルドに、『オリビアと申します。お目にかかれて光栄に存じます』と、まだあどけない顔をした美少女は、スカートをつまんで腰を落とし、そつのない挨拶をしてくれた。

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