最後の花火
紗菜と希
  *

 希と作った昼食はカレーライス、それにきゅうりとレタスとトマトとアスパラのサラダだ。

「紗菜って料理手馴れてるんだよ。この人数分のごはんを炊ききれないなあって話していたら、置いてあったおっきな圧力鍋でぱぱっと白米炊いてんの」

 麦茶を配りながらの希の発言に、全員の視線がそちらではなく紗菜のほうに集まった。いっぺんに七人の異性から見られた紗菜は、近い距離から複数の男の子に注目を浴びることに不慣れなため、身をすくませるしかなかった。

「や、あの、鍋があったから借りただけで」

 家ではいつも自分が食事を作っているとは言わないほうがいい気がした。女子力アピールなんて間違っても言われたくない。
 紗菜がそれ以上の言葉を発しないとわかると、ふうんともへえともつかない声が漏れ聞こえた。話の続けにくい扱いにくい子と思われたかもしれない、と紗菜はまたもや自分を責めた。
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