イジワル外科医の熱愛ロマンス
「まあ……ね。ちょっとワケありで」


そう言って、木山先生は美奈ちゃんに、恋人宣言は偽物だと説明したけれど、彼女は納得いかないといった表情で眉間に皺を寄せた。


「でも、なんで宝生先生にそんな嘘つかなきゃいけないんですか?」


美奈ちゃんは鋭く疑問を呈して、私にジトーッとした目を向けてくる。


「み、美奈ちゃん。あの……」

「さっきの木山先生、雫さんを巡って、宝生先生にバトルを仕掛けてるみたいだったし」


美奈ちゃんは不信感丸出しの目で、私に激しくツッコんでくる。
慌てて言い繕おうとしたけれど、美奈ちゃんの目力は変わらない。


「雫さん、宝生先生のこと嫌いなんですか? グイグイ言い寄られて困ってて、木山先生が割って入ってみたとか?」


胸の前で腕組みをして、流暢に質問を畳みかけられ、私は返事に詰まり口ごもってしまった。
木山先生も困ったように肩を竦め、この場をどう収拾するか、判断を委ねるような目を私に向けてくる。
どこか気まずい沈黙が流れ、結局私は観念するしかなくなった。


「木山先生を巻き込んでしまって、本当に申し訳ないです。でも、美奈ちゃんが思っているように、宝生先生が私に言い寄るとか、そういうんではないんです……」


そう前置きをして……美奈ちゃんにも、祐との関係を白状することになってしまったのだ。
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