愛を知らない一輪の花
葛藤


心地良い暖かさで目が覚めた。
抱きしめられているのに気づき、慌てて起き上がろうと身体を動かそうとしたが、ガッチリと腕に包み込まれていて身動きが取れない。

恐る恐る顔を確認すると、蓮がすっきりとした綺麗な顔で眠っていた。




腕を振りほどこうと一瞬迷ったが、昨日蓮にお願いされていた事を思い出して、大人しく腕の中に戻る。
今までも男性に抱きしめられて眠ったこともあったが、こんなに落ち着かない事は初めてで、もぞもぞと動いてしまう。
愛される感覚がわからない。今までも好きだと言われ、恋人になったこともある。
でも相手は愛されてる気がしないと怒ったり、束縛や嫉妬、浮気された事もあった。
悲しいのは、そうなことをされても傷付かない自分だ。

、、、ずっとそうだ。きっとこれからも百合に愛という感情は生まれない。
だから特定の誰か恋人になるのではなく、その時だけ、欲情のはけ口でいいのだと思った。
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