【完】こちら王宮学園生徒会執行部

・15年越しの告白








「……デジャヴですね」



ぽつり。

わたしのつぶやきを拾った彼は、小さく笑みをこぼす。それから「そうだな」とつぶやくその表情の裏には、おそらくわたしと同じ記憶が巡っているのだろう。



艶やかな装飾が綺麗な紺色の着物。

目の前に立つ料亭は、あの日と同じ。



そう、優美な日本庭園を望める料亭。

ルノが婚約者と顔合わせをしていた場所だ。



あの日わたしはこの着物で、彼の婚約者解消を申し出た。

……もうそんな権力、わたしにはないけれど。



「まさかまた来ることになるとは……」



またもやわたしのつぶやきに笑った彼が、迎えてくれた女将さんに名前を告げる。

そのまま案内されて向かったのは、離れのような場所。




「こちらのお部屋でございます」



どうにも、こういう隔離された場所には、気が乗らない。

人質だった分、裏の荒(すさ)んだ話には、何かと敏感だからだ。



それでも息を詰めて、背筋を伸ばす。

堅苦しくしなくていいと言われたけれど、いつみも今は黒のスーツだ。



「失礼します」



女将さんが、襖を開けてくれる。

あれ?こういう時って、いつみが先に入ったほうが良いの?それともわたし?



なんて、ぐるぐる考えてしまって。



「南々瀬」と苦笑しながらわたしを呼んだいつみが先に部屋に入って、手を引いてくれた。

そして、導かれるまま部屋に足を踏み入れれば。



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