御曹司のとろ甘な独占愛
(……まずは、到着ロビーに出たら、担当者さんが私を迎えに来てくれるんだったよね?)

 会社からもらった資料によると、一花は今日から社宅に入れることになっていた。

 社宅の詳しい場所までは記載されていなかったが、日本語が話せる担当者が案内してくれるらしい。お互いを見つけやすいように、担当者はプラカードを持って到着ロビーで待っていてくれると聞いている。

(日本語が話せる担当者さんに頼りっきりってわけにはいかないけど……ひとまず、一安心かな?)

 英語は話せても、中国語は大学の授業で受講したっきりの初心者レベル。
 この一ヶ月、中国語〈入門編〉のテキストを開いてみっちり勉強はしてみたものの、文章は書けても発音がなかなか上達せず、苦労していた。

(中国語は引き続き勉強するとして! まずは今日の生活ができるように、色々なお店の場所とかも聞いてみないと!)

 社宅の部屋がどれくらいの広さかわからなかったので、一花の荷物はトランク一つ。
 現地調達をしなければいけない物も多くあった。
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