有名な作家と違い
クラシックが柔らかに流れるホールは

10人程度居るだけで
閑散としていた


『おや??一翔君じゃないか』

スーツ姿の老紳士が
彼に近づき手を取った

『先生お久しぶりです』
手を取り合って再会を懐かしむ二人

しばらくして私に気付いた

『一翔君、こちらは?』


彼はニッコリ笑って隣に立つと
『僕の婚約者の斎藤愛華さんです』
と紹介

『はじめまして斎藤愛華です』
ペコリと頭を下げると

二人の婚約をとても喜んでくれた先生

夜のパーティーに是非参加してくれないかと
上機嫌だった


ホールの中ををつかず離れずで作品を見て歩く

時折立ち止まり
ポツリ、ポツリと大学のことを話してくれた


先生は大学の教授

とても好きなゼミだったという


『夜のパーティーまで一緒でいいかな?』


断る理由もなくて
『はい』
短く答えると


白い歯を見せて笑った彼


ごく自然に会話を楽しみ
綺麗な物を見て笑ったり


初めての楽しいデート


なんとなく歩く・・・
たったそれだけなのに楽しい


いつもより三歩、いや四歩程
彼に近づいた


背中ではなく
見上げると彼の左の頬が見える距離


結婚するなら・・政略でも
仲良くしたい


そう思ってきた願いが
少しずつ叶っているようだった


向かいから自転車がくると
スッと肩を抱き寄せ守ってもらえる


その度にドキドキして
しばらくは彼の顔すら見上げられない


そんな私の様子を見ながら
カメレオンみたいだと
クスッと笑う彼


もぉ。。と。頬を膨らませると
お子ちゃま扱い・・・


・・・恋人同士ってこんな風?
自分でも少し嬉しくなって
クスッと笑うと


『思い出し笑いするヤツはスケベなんだぜ?』
と目線を合わせて白い歯を見せる



そして・・私はまた
その白い歯にキュンとする

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