契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「…助けてくれたのは嬉しいけど、あれじゃ悠さんの立場が悪くなっちゃいます」

「俺の立場なんかどうでもいい。ごめん。結婚のデメリットなんてないと思ってたのに」

悠さんの腕の中で気持ちがほぐれて、首を横に振った。

同じシャンプーの匂いだと思っていたけど、やっぱり悠さんは悠さんの匂いだ。

なんでだろう。どこか懐かしい気持ちになる。

「ありがとう悠さん。おかげで今まで通り、みんな協力的に患者さんのことを教えてくれました」

「そうか。なにかあったらすぐに言うんだぞ」

「はい」

悠さんは私の頬を引き寄せながらゆっくり唇に触れた。

触れるだけなのに、丁寧でとろけるようなキス。

身体が離れたあと、余韻から抜け出せずに思わずぼーっとしてしまった私に、悠さんはなんだか楽しげに微笑む。

「シャワーから上がったらまた死ぬほどキスするからそのつもりで」

「えっ」

顔じゅうに熱が集まる。もう眠気どころじゃない。

…完全に悠さんにからかわれている気がする。




< 54 / 175 >

この作品をシェア

pagetop