契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
食事のあとは本屋さんへ行き、先生は医学の本を探し、私は奥の棚へ栄養学に関する本を探しに行った。

毎日いろんなケースの患者さんと接するんだから、知識は多いほうが何かと役立つ。


「…あ。いた、相沢凛!」

お目当ての本を見つけだとき、急にフルネームで呼ばれて肩がビクッと揺れた。

なぜかおどおどした様子で私を指さしているのは…真っ黒な髪に黒ぶちメガネ。背は多分、170cmないくらいだろう。

だれだっけ。見たことはあるけど、どこで会った人なのか思い出せない。

「この辺りに住んでるっていうから来てみたけど、こんなところで会うと思わなかった。
なんでお見合いを突然キャンセルしたんだ」

お見合いという言葉でやっとピンときた。

お見合いする予定だった町役場勤めの森田さんだ。

「俺、楽しみにしてたのに…急に婚約者がいるってなんだよ!
俺と結婚したくなくてそんなこと言いだしただけじゃないのか?」

怒っているのに、やっぱりなぜかおどおどしている。

怒りなれていないのか、人とのコミュニケーションが苦手なのか…

とにかく、わざわざここまで探しに来たってことは、やっぱり文句を言いたかったんだろう。

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