契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
靴の音を鳴らし、とても怒っているのがうかがえる。

いつもよりもずっと早いペースの悠さんに、小走りでついていきながら尋ねる。

「どうして来てくれたんですか?」

「上村はなにかと俺に突っかかってたし、昨夜上村と話してたって聞いて怪しいと思ってたんだ。
上村が女を連れ込むのが出入り禁止になる六時以降の図書室だっていうのは、外科のナースから噂で聞いてたからな」

痛いくらいに私の手を引っ張ったままズンズンと歩いていく悠さん。

人気のない荷物搬入口の裏へ私を押し込めると同時に唇を塞ぎ、息継ぎもできないくらいにキスを繰り返す。

「…ゆ、う…っ」

初めてだ。舌を絡ませる深いキス。

苦しくて声が漏れ、彼の白衣の裾を掴んだ。

触れた部分が熱を持って全身に広がっていって、次第に白衣を掴んだ手の感覚すら奪われていく。

< 92 / 175 >

この作品をシェア

pagetop