契約結婚なのに、凄腕ドクターに独占欲剥き出しで愛し抜かれました
「このままこの病院にいられると思うなよ?
上に報告させてもらう」

そう言い捨てた悠さんは、私の手を強引に引く。

「ま、待てよ。
そんなことしたらお前が俺を殴ったこともバラすぞ」

どこか狼狽えている様子の上村先生は、さっきまでの強気で自信に満ちた声じゃない。

「バラしたいならそうすればいい。
凛のためなら俺は病院を首になったってかまわない」

鼓動が大きく鳴り、胸が熱くなる。

悔しそうに唇を噛む上村先生を背に、悠さんは私の手を握ったまま廊下へ歩き出した。


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