お見合い結婚狂騒曲
『真央ちゃん、情けは人の為ならず、助け合いの精神を大切にね』

よりにもよって何でこんな時に、祖母の教訓めいた戒めを思い出すのだ!
ガクリと肩が下がる。

親愛なる祖父母の言葉は絶対だ。
仕方がない、と諦めの境地に至る。

「分かりました。もう一度お会いしましょう」

そうだ、公香も「最低三回は会え」と言った。

「お会いしましょうって、こうやって会っているのに」

訳が分からないと言うように、葛城圭介が頭を振る。

「見合いの相手としてです。今、この時は先生と事務員。立場が違います」
「君って、変な奴って言われない?」

貴方にそれを言われたらお終いだ。

「お互い様だと思います」

本格的にドS赤尾真央になってきた。

「まっ、どうでもいいけど」

いいのか!

「では『見合い屋』に仮交際の返事をしておいてくれ。僕の方から、次会うのは週末だと伝えておく」

アンドロイドはコーヒーを飲み干し、チョコを口に放り込み、片手を上げる。

「じゃあ、そういうことで。コーヒー、ご馳走様、チョコ、ありがとう。お陰で元気が出てきたよ」

パタンとドアが閉まり、葛城圭介の姿が消えた途端、椅子に座り込む。
ーー私は朝からグッタリです。
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