オプファー・シュピール~生け贄ゲーム~

生け贄決め

――次の日にあたしが教室に入ると、登校中に予想していた通り教室内は大騒ぎだった。
いくつかのグループに別れて話しているけれど、その内容はどこも一緒。


生物学室かどこにあるのか。


次々に自分の意見を言ってはそれを誰かが否定して騒いでいる教室を見回していた時、滝本梨々が率いているあのグループの姿が無い、ということに気がついた。

いつもなら、廊下にまで聞こえるくらいの大声で話してるのに。

まさか、欠席?



・・・そんなわけないか。あいつらが学校を休むなんてこと、2年になってから今まで一度も無かった。
1年の時はクラスが違ったから、わからないけれど。


そしてクラスを仕切る女王様とその家来が居ないからなのか、あたしが自分の席に座った途端いつものメンバーが集まってくる。

「ねぇねえ文!生物学室って、どこにあると思う!?」
開口一番にそう叫んだのは、中学から一緒の小宮 柚子(コミヤ ユズ)。

というか、そんな大声で言わなくてもちゃんと聞こえてるって。


「まぁ、少なくともこっちには無いよね。生物学室って名前的に、西校舎じゃない?」

この学校には、三つの校舎がある。
あたし達2年と文系の3年の教室があるここ――東校舎と、1年の教室と音楽室や美術室などの特別教室がある本校舎、そして3年の理系が使っている西校舎。

その他に、武道館と体育館、そしていくつかの部室棟。

ここに入学して過ごしているあたしから見たら普通の広さだと思うんだけれど、他の高校に進学した友人達からすると「広すぎて逆に恐い」・・・らしい。


今すぐにでも贄を決めたいと思っているのか、皆からは早く生物学室を見つけたいという思いが感じられた。
気がつけばあたしの目の前で口々に意見を出し始めているけれど、なかなか話が進まない。

・・・・・・というかさ。
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