残念なイケメン、今日も我が道をゆく
プロローグ
暖かくなってきた五月も連休明け。


新入社員も研修を終えて各々配属され、各部署にて仕事始めとなるこの時期は、仕事としては繁忙期ではない。
しかし、新人を鍛え上げるべく、上に立つ者達には忙しい日々が始まる。


かく言う私も事務の主任のため、しがない中間管理職という立場。
新人の受け入れも今年で3度目ともなれば、そろそろ指導も慣れてきたけれど。


さて、気合を入れていかねばと歩き出し先に我が社の有名なイケメンが居た。


途端に脱力感が襲ってきた。


イケメンを見れば8割方の女性なら心躍る場面であろうが、このイケメンはただのイケメンではない。


うちの会社の営業部所属、仕事も出来る。
頭もよく、会話のテンポも良く、営業向き。
海外留学経験もあり、語学も堪能。
海外営業担当の、営業2課のエースで出世株。


それでいて、外見は学生時代は雑誌の読モをしていたという、世の女性の8割方の支持を得そうなイケメン。
そう、美形なのだ。


ここまで聞けば、モテモテの男を想像なさるだろう?


しかし、見つけた私を脱力させるだけの理由が彼にはあるのだ。


そう、彼は我が社で、それはそれは有名な『残念なイケメン』と呼ばれている、そういう類のイケメンなのである。
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