元社長令嬢は御曹司の家政婦
連れていかれちゃうの?
ミケなんてだっさい名前つける飼い主のとこに帰るの?
どこら辺にでもいる白い雑種の猫なのに、あなたの猫だって断定できないでしょう?

それに......。


「待ってよ、連れて行かないで。
そのこはもう、うちの子よ」


見るだけなら可愛いけど、猫の世話なんて臭いし面倒だし、病気になるし、苦労してお世話してあげてるわりには気まぐれで自分勝手で。

早く飼い主が見つかればいいのに、ってしょっちゅう思ってた。

それなのに、気づいたら、私は連れていかないでと口にしていた。


「......美妃?」
   

猫を抱いている女も秋人もいぶかしげに私を見るけど、そんな視線を向けられてももう止まらなかった。
 

「本当に大切なら今まで一ヶ月も何してたの?
大体小さい猫を外に出すなんて、無責任よ」

「美妃やめるんだ。色々事情があるんだろう」


女に詰め寄ると秋人にやんわりと止められたけど、その手を振り払ってさらに女との距離をつめる。
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