元社長令嬢は御曹司の家政婦
どうして?
もしかして......。

破産。

考えないようにしていた現実的な言葉が頭の中に浮かび上がる。


「おかしいわね?また改めてくるわ」


頭の中には疑問と絶望が渦巻いていたけど、全てのクレジットカードが使えないというみじめさと、同情するような店員の視線に耐えかねて、そそくさと店を出る。



家に帰り、全てのカード会社に問い合わせた結果、答えはひどくシンプルなものだった。―――残高不足。


「どうしよう。このままじゃ新しい服が買えない」


ふかふかのベッドに横たわり、ため息をつく。
いえ、服もだけど、エステやネイルのお金はどうすればいいの?


「お持ちの服や鞄をお売りになったらどうでしょう?」

 
今日で最終日の家政婦が掃除をしながら、膨大な量のブランド品がしまってあるクローゼットに目をやる。


「何言ってるの?これを売ったら、私は何を着ればいいのよ!いっとくけど、安い工場で作られた大量生産の服なんてお断りよ!」 


むくりと体を起こし、語気を荒げて反論すると、家政婦ははぁ......と呆れたように相づちをうつ。


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