銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
カツラのこともあって、私のことを不審者だと思って監視している?

私も迂闊だった。

まさかカツラが外れているなんて……あの状況では考える余裕なんてないでしょう?

動揺していてカツラのことなんてすっかり失念していた。

彼は去り際、カツラが外れていることにも気づかなかった私を見て笑っていたような気がする。

何故私を尋問せず、こんな豪華な部屋に泊まらせるのか。

ここは女性用の部屋なのか、真珠や宝石で装飾されたドレッサーが一際目につく。

隣は侍女用の部屋で、この部屋の中から行き来でき、クレアが泊まることになっている。

「本当に夢のようなお部屋ですね。でも……カツラのこと、大丈夫でしょうか?」

横にいるクレアが不安そうに聞いてきた。

「……わからないわ。最後の晩餐ならぬ最後の贅沢になるかもね」

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