銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
そんな皮肉を口にして目の前にある椅子にハーッと溜め息をつきながら腰掛ける。

国王にカツラの話が伝われば、投獄されるかもしれない。

コンラッド男爵だって捕まってしまう。

ああ〜、私ってなんて馬鹿なの?

自分を責めずにはいられない。

「ここから逃げ出します?」

クレアがおどおどしながら私を見る。

「……今逃げるのはやめて、もう少し様子を見ましょう」

すぐに逃げれば相手の思う壺だ。

こっちがそうするのを待っているのかも。

今のジェイは私の……敵だ。

彼との再会で、全て頭から吹っ飛んだ気がする。

ジェイは私にとっては多分……初恋の人。

だけど、彼と出会ったことはずっと心の奥底に封印してきた。

思い出せば、亡くなった両親のことも自然と思い出してしまうから。

それにしても、五年後にジェイに助け出されるなんて誰が予想しただろう。
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