ドキドキ同居しています

side 瀬名

須王に図書室で告白した翌日。

昼休みに、智沙と理乃に呼びとめられた。


「なに?」

智沙と理乃は、人通りの少ない廊下へ僕を連れていった。

最初は言いにくそうにしていたが、時間もないので智沙が話し始めた。


「瀬名くん……昨日、茉莉香に興味があるって言ってたけど……本気?」

「ああ。あの後、告白もした」


智沙と理乃は驚いて顔を見合わせていたが、理乃が、

「茉莉香……好きな人がいるよ? だから諦めて」

と、お願いしてきた。


「須王さんの好きな人って、誰?」

1年くらい、彼女に片思いしてた僕は、簡単に引き下がりたくなくて訊いてみる。


理乃は言いずらそうに俯きながら話し始めた。

「この前……好きになっちゃいけない人を好きになっちゃった、って、ぽろっと茉莉香言ってたんだよね……。
その人のこと、詳しく言いたがらないから聞かなかったけど、すごく好きみたいなの。その人のこと……」


……好きになっちゃいけない人って……彼女にしてもらえないような立ち場の奴ってことか?


「好きになっちゃいけない人だったら、諦めたほうがいいんじゃないの?
僕だったら、彼女にそんなふうに思わせたりしない。
堂々と付き合って、彼女を大事にするよ」


「でも、茉莉香はその人が好きなんだよ。瀬名くんが、茉莉香を諦めてあげて。
瀬名くんが失恋から立ち直れるまで、私たちが話し相手になってあげるから」

智沙が僕を説得しようとする。


「……とにかく、僕はそんな半端な奴に彼女を譲る気持ちはないから!」

無理やり話を終わらせて、僕はその場を去った。
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