彼と愛のレベル上げ
夜10時きっかりに携帯が鳴る。
この着信音は主任。



♪~~~



「はい!もしもし?」

『やけに元気ですね?』

「あ、いえ、えと…楽しみにしてたので……」


うん、私は30分前から待機しちゃうぐらい楽しみにしてたんだ。
だから嘘じゃない。


『モモ、最近そう言う事言ってくれるの嬉しいんですが、手出しできないのが困りますね』


何かって言うとすぐに手出しとか言って主任はいつも私を困らせる。
会ってる時だったらその後でギュってしてくれるけど今は……


「…早く……会いたいデス」

『モモ、…後5日待てますか?』


待てますかって言われても、待つしかない。
だってすぐに会える距離じゃないんだから。


「……はい」

『そうですか、モモは待てるんですか…』

「え?それってどういう…?」


だって会いたいなんて言ったって物理的な距離を考えたら無理で、だからはいって言ったのに。


『あんな画像見せられたら、すぐにでも会いたくなるでしょう?』


あんな画像?
エプロン姿ってことだよね?

あまりにも似合わなくて違うのにしろとか?
いや、むしろ子供過ぎてエプロンさえに合わないとか?


「え、お婆様どんな画像を……?」

『それは見せられませんね、鍵かけて保存しましたし』


鍵かけて保存って……


『あまりにも可愛らしいので誰にも見せたくないってことですけどね?』


優しい声で主任が答えを教えてくれた。

あぁ、マズイっ。また泣きそう…


早く会いたい
会って顔が見たい
直接その声を聞きたい


私の中からそんな気持ちがどんどん溢れてくる。


『モモ?どうしました?……もしかして引きました?』

「いえ、あのっそうじゃなくて、あまりひどかったのかと思ったので。そう言われて嬉しかったって言うか……
うまく言えないんですけど……」


胸の奥がぎゅってつかまれたみたいに痛くなって、早く会いたくなったなんて言えない。


『……早く、逢いたいですね』



「はい…」


主任も同じ気持ちでいてくれて
それを言葉にしてくれて
それで、


『金曜日、なるべく早く帰りますね?』

「あのっ、お迎えに――――」
『家で』

「え?」

『家で待っていてください』


いつまでもこうして話していたいのに、引っ越しの疲れもあってか、主任の声を聞いていたらだんだんと眠くなって、12時にはお休みなさいといって電話を切った。
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