彼と愛のレベル上げ
そして帰り道。

お茶と言いつつ夕方までしっかりお邪魔してしまった私たち。

夕飯もと言ってくださったけどお父さんの事もあるからと、片づけをしてお暇してきた。


「お母さん、花嫁修業とか言わないでよ…」

「あら?どうして?」

「だって。結婚なんて決まってないのに、そんなこと……」

「じゃあすればいいじゃない?」


いや、そうだけれども。
ていうかそうなったら素敵だけれども。

なんていうか
そういうんじゃないし

そういうっていうか
付き合ってるっていう実感だって
まだ、そんなにないのに


「また迷宮に入ってるわね?桃華ちゃん」

「へ?」

「聞いてみればいいでしょう?堂地さんに」

「聞けるわけないよ…」


そんなこと、聞ける事じゃない。
だって私からそんなこと、聞けるわけない。


「どうして?堂地さんうちにいらしたときに先の事も考えてるっておっしゃってたでしょう?」

「やっ、そうだけどっ。いや、あれはなんていうか、言葉のあやって言うか」

「もう…どうして桃華ちゃんってそういう思考になっちゃうのかしらね?」


そういう思考回路。
それって私は普通と違うってこと?


「だって不安ばっかりなんだもん。ほんとにいいのかなって」

「桃華ちゃん。堂地さんがうちの挨拶に来てくれたは軽い気持ちじゃないのはわかってるわよね?」

「…うん」


ちゃんとご挨拶したいって言ってくれた主任。

ただ付き合うだけなのにご挨拶なんて普通しないわよ、そう教えてくれたのは望亜奈さん。

未来なんてどうなるかわからないのに親と会うなんてどんな責任取らされるか考えたら普通できないって。



先のこと考えてくれてる主任のことを信じてないわけじゃない。

けど、それが現実の事かどうかがまだ信じられていないだけ。



「あ、でも金曜に帰ってくるって……」

「あら、そうなのね?じゃあ今度はゆっくりいろんな話出来るわね。同じ家なんだし帰らなくてもいいわけだから」


お母さんにそう言われて急に現実に戻された。

帰らなくていいとか、なんか恥ずかしいけど嬉しい。


そっか、この週末はゆっくりいろんな話出来るといいな。


駅までお母さんを送っていってからスーパーで買い物をして帰った。

今度こそ、主任に朝ご飯はつくってあげられるといいな。
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