うさみみ短編集
隣の席のツトム君
お母さんは世界には高級と言われる食材と言う物が三つあると言っていた。




昔、とても綺麗な女性が三人居たらしいというのを私は何かの本で読んだことがあった。
皆、色々なものを全て三という数字で決めているのだとして、今私の人生において最も嫌いな三つを挙げるとすれば、私はこの三つしか思い浮かばない。







カエルとピーマンと、隣の席のツトム君。







「いただきます!」






ふわりと生暖かい蒸気の漂うバケツの様に大きな鍋やボウルが、四輪コロ付きの長方形型のテーブルに置かれて、皆はこの時を待っていた様に目を丸くさせたり、落ち着き無く隣の子達と話をしている。







手を合わせて教壇に立つ先生までも、あの蒸気から漂う甘酸っぱい香りに誘われたのか、自然と笑みを零して両手を合わせる。







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