それでも、幸運の女神は微笑む

「これが最後の忠告だよ」

そうこうしているとお店に列ができ始めたので、歩きながら食べることにした。

邪魔になるからね!



うわ、あちこちから美味しそうな匂いが私を誘惑する~!


大して残っていなかったパンを食べ終えた私はきょろきょろしまくっていた。

ラギアはまだ黙々と食べてる。可愛い。


あ。ラギアと目が合った。

こてんと首を傾げて・・・



「食べる?」

「びゅお!?びゅびゅん!」


慌てて首を振った。

欲しくて見てたわけじゃないよ!


「そう」


ラギアはあっさり頷いてまた黙々と食べ始めた。

そんなに物欲しそうに見てたかな・・・?




「アサヒ、まだお腹すいていますか?」

「びゅびゅん!」

「びゅびゅん・・・いいえ、ということでしょうか」

「ヴん!」


正確には「ううん」だけどね!

そんなに私お腹すいてそう?けっこうボリュームあったし満足してるんだよ?



「そうですか。
では、あちらのお店のようなものはお好きでしょうか?」

「ふむ?」


「あちら」「好き」?

ボルダさんの指差す方を見れば、布でできた小物入れを売っている露店があった。


布切れを合わせてできたらしい巾着は、それぞれ違った色と刺繍の組み合わせで面白かった。



おぉー!


「すき!見る、したい!」

「じゃあ行こう」

「ヴん!」

「元気ですねぇ」



ラギアの手を取って、うきうきとその露店へ向かう。

ラギアはすぐに隣に並んで、きゅっと手を握り返してくれた。


それがすごく温かくて、私は思わず笑顔が溢れた。








––––だけど。

次の瞬間、私の顔は強張った。




< 146 / 153 >

この作品をシェア

pagetop