それでも、幸運の女神は微笑む

「怪しいですね、貴女」

謎の雑巾地獄(結局5回雑巾踏んで転んだ)に若干心を折られつつ食堂に到着すれば。




「ぱ、ぱんっ・・・」


パンはなかった。






くずおれる私にガペラさんの哀れみの視線が降り注ぐ。



「残念だったねぇ。いつもなら残ってるんだけど、今日はあの方達がお帰りになられたからねぇ」

「ぱん~っ」

「そんな恋人の名前を呼ぶみたいに言うんじゃないよ。
ほら、スープはあるから」

「すーぷっ!」



ほかほかと湯気をたてるスープが置かれ、ぱっと見れば。



「すーぷ・・・?」

「あぁ、すまないねぇ。具はほとんど食べられちまってねぇ」


かろうじて、玉ねぎらしき欠片とにんじんらしき欠片が浮かんでいるほぼ具のないスープ。


・・・そんなぁ。



朝からきっちりがっつり派な、飽食の日本から来た私にはちょっと厳しい現実だった。


働いてもいない怪しさ満天の私にきちんと食事を出してくれるだけで優しさ満点なんだけども。



てことで。

私はガペラさんに笑顔を向けた。



「ありがとう、がぺら!」

「はいよ」


スープとスプーンだけが乗ったトレーを持って、机のある方へ向かう。

ラギアも一緒だ。


ガペラさんはラギアには深く深くお辞儀をしていた。

・・・そういえば、昨日ムムも深くお辞儀してたな。

もしかしてラギアって偉い?!



パッとラギアを見る。

いつもと同じ無表情。




『あ、あのう、ラギアさん・・・』

〈なに?〉

『ラギアさんって、偉い人だったりする?』


私の質問に、ぱちりと目を瞬いたラギアは、じいーっと私を見つめた。





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