輪廻ノ空-新選組異聞-

宴は始まったばかりだった。
まだ当分誰も帰って来ないよね。

バクマツに来て、最初に未来から来た証明をするために触った以外はなるべく自分の時代を思い出さないようにしまい込んでた持ち物を広げてみよっかな、と行李を出してきた。

蓋を開けて、奥底の風呂敷包みを出す。

一番上に乗せた腕時計と財布。

デジタルの時計はまだ時を刻んでいて。

日付や曜日に胸が詰まる。
はぁ…。

財布。
お母さんがプレゼントしてくれたピンクのエナメルの折り財布。

小銭、お札。
お店で貰うカードとか…。

ぎっしり詰まるそれを出して一枚一枚見て…。

何だろ、この紙。
見覚えのない厚い紙が一番後ろのカード入れに押し込んであるのに気付いた。

引っ張り出した。

ギチギチだよ、何これ!!

表には

「蘭子へ」
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