泡沫の夜
Sakura weather




「花見と足湯?」


お昼時、ほんの少し暖かくはなってきたけれど、まだまだ風は冷たい3月の初め。

会社の近くのカフェでランチをとっていた理央くんと私。

理央くんが今回出した企画の話をしてくれた。


「花見のツアーだから、短期企画なんだけどさ、ちょっと穴場な桜並木の公園があるんだけど、その近くに最近足湯が出来たんだ。花見の季節って風もあって寒い日も多くて。で、足湯も組み合わせたのをちょっと考えてみたんだよ」

「足湯しながら花見って贅沢だね」

「だろ?道中老舗の花見団子も仕入れる予定。ほら、ここな?」


スマホを取り出してその公園のホームページを見せてくれる。

すっかり春のイベントカラーになっているホームページには、足湯の写真も載っている。足湯自体の規模は大きくないけれど、その周囲の公園は花見でブラブラ散歩をするのにも最適そうだ。

これは確かに誘われる。


「それでさ。今週末行ってみない?ちょうど金曜日が祝日だからさ」

「リサーチって事だね」

「ま、確かにリサーチではあるけれど、色気ないなぁ……。純粋にデートに誘ってるんだけど?」


デートだと改めて言われると、なんとなく心が浮き立つ。


「お花見団子もリサーチしたい」


「花より団子かよ」


ケラケラと笑う理央くんの笑顔が、可愛くて大好き。







< 50 / 61 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop