【完】溺れるほどに愛してあげる

恋仲






ひらひらと風を受ける2枚の紙。


文化祭が終わって1週間経った。


明後日は日曜日。


この紙に書かれてる期限も明後日まで。





「…誘っちゃう?」





そう。


あたしの手に握られているのは遊園地のチケット。


ずっと悩んで、教室でも言えなくて…


だけど一緒に行きたい、と思う。


金田と一緒に行けたら絶対に楽しいって思う。


あたしは机の上に無造作に置かれた携帯をとって、LINEYを開ける。


そして…


『日曜日、空いてる?』


…送ってしまった。

もう逃げられない。


やっぱなし、なんてできない。


うぅ〜…と唸っていると、同時に携帯も唸る。


『空いてるけど、どうした?』


あああ、空いてるんだね…

嬉しいのに嬉しくないような…複雑な気持ち。


…ううん、ここは勇気を出せ優愛!


夏祭りも一緒に行ったし遊園地だって同じはず!



…どうも文化祭のあの日から金田と2人でいるのがしんどくなっていた。


主に心臓が。


バクバクと脈打って、酸素が上手く回ってきていないみたいに頭がクラクラする。


──優愛しかいらない。


そう、言われた時はとても嬉しかった。


だけど…今思い出したら死んじゃうくらい恥ずかしい…


嬉しいんだよ?


だけど…慣れなくて。


こんなに想ってくれてることに慣れなくて。


『どうしたの?』


あたしが返事を躊躇していたことに気付いたのかまたもメッセージをくれる。



…あたしだって金田のこと大好きだもん。


隣にいたいって思う。

だから…


『遊園地、一緒に行けないかな〜って』


今度はあたしが、ちゃんと伝えたいんだ。


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