ひょっとして…から始まる恋は
願ってもいいですか？
『それフィアンセらしいよ』


二日後の夜、そういう文字が目に飛び込んだ。
高校時代の同級生達とラインで会話をしていた時だ。

天音が街で藤田君と会い、その際に美人と一緒だったと報告したらそう返ってきた。


『しかもその人、どうやら市民病院の外科部長の娘らしくて』

『以前はやっちゃんのお兄さんと付き合ってたって噂』


中学も藤田君と同じ学校だった子達が真しやかに流し、私は益々目を見張る。

でも、そう言えば前に三波さんが言っていた。

彼のお兄さんは市民病院で外科医をしていたって。

確かとても有名な人で、外科部長の信頼も厚いとか何とか言っていた＿＿。


『その噂本当なの？』


疑わしい…と天音が流す。
だけど、私はそれをまんざら嘘ではないと思っていた。


だって、藤田君は学生の頃からお兄さんに対してライバル心を燃やしている様だった。

お兄さんがフィアンセの元カレだとしたら、単純に負けたくないと思うのではないのか。

彼以上に優秀な医師になって、彼女の父親に信頼されたいと思うのではないのか。


そう思うと全てが納得ができ、呆然としたままで文字を見ていた。


< 51 / 190 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop