ひょっとして…から始まる恋は
バッグの中から白い封筒を取り出し、その中身を開いてみた。

堅苦しい挨拶文とお誘いの文章の後、披露宴の場所と時間、挙式の時間が印字されている。

それから併せて差出人の氏名も……。


『藤田 靖』
『桜田 英里紗』


「さくらだ えりさ」の文字を見つめ、不覚にも綺麗な名前だな…と思ってしまった。

こんな名前の女性が二股を掛けるんだろうかと思い、名前は関係ないかと思い直した。

どんな人かは知らないけれど、藤田君が選んだのは彼女だ。美人で背が高くてスタイルが良くて、モデルみたいな女性__。


「私とは正反対じゃない…」


中肉中背ではあるけれど、決して痩せてるとは言い難い私。
そんな私が彼の視界に入ることなんて過去も現在もなかったのだ。


ただの同級生としか見られてなかった。
ううん、そもそもその視界に収まったことがあるかも謎。


「でも、顔と名前を覚えていてくれた…」


それだけで満足しないと駄目?
だけど、それだけで十分だと思えない。


ウダウダと考えながら封筒をバッグに戻し入れて歩く。
地面にのめり込んでいきそうな気持ちで、明日からもあの職場に行くのだ___。


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