ただいま冷徹上司を調・教・中!



なんとも言えないもどかしさを抱えながら1人で過ごすのが嫌で、日曜日は高校からの友人二人とランチブッフェを楽しんだ。

和宏と別れたことを伝えると、二人は驚くこともなく納得していた。

「確かに頼りなさそうな顔してたもんねぇ」

「意志が弱そうだったもん。誘惑に簡単に負けたって聞かされても、だろうね、としか言えないよ」

和宏と付き合っていた時は特別反対されることもなかったが、今思えばそれとなく目を覚ますように諭されていた気もする。

そんなことにも気付かなかったなんて、私はなんて鈍感だったのだろうか。

当事者よりも周りにいる人の方が、和宏の内面を見抜いていたということだ。

やはり私は男の見る目が本当にないらしい。

でも今は。

今は本当にいい恋をしているかもしれない。

完璧だと思っていた上司の抜けた所を目にしても、覚めるどころか愛おしく感じているわけだから。

私はきっと平嶋課長に幻滅したり嫌いになったりすることなどない。

不思議とそう思えた。

この二人に今の私達の関係を暴露するわけにもいかず、平嶋課長の存在も明かさなかった。

家に帰って、やっぱり彼女たちにだけは本当のことを伝えればよかったとも思ったけれど、もう少しだけこの座が定着してからでも遅くない。

姑息にそう考えて、平嶋課長に会える月曜日を少しでも早く迎えられることを祈りながら眠りについた。
< 119 / 246 >

この作品をシェア

pagetop