溺愛ラブ・マリッジ~冷徹上司が豹変しました~
第五章 代替え品
「……蔵人さん」

袖を引いて上目で見上げると、蔵人さんはすーっと視線を逸らして口元を手で隠した。

「無理しなくていいんだぞ」

「……でも」

はぁっ、蔵人さんの口から落ちる小さなため息に泣きそうになる。

「いいから」

唇を重ねると、蔵人さんはベッドに入った。
それ以上、ねだれなくて私もベッドに潜ると、後ろから抱きしめてくる。

「少しずつ、慣らしていこう。
な」

ちゅっ、耳の後ろに落とされた口づけにびくんと身体が震えてしまう。
ちゅっ、今度は首筋にふれる唇に、完全に固まった。

「今日はここまでだ」

ふふっ、小さく笑うと蔵人さんはぱっと離れた。
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