敏腕メイドと秘密の契約
Yes, we can

AI?

『朝食です。天音さん』

三浦 藍(あおい)25歳(♀)は、今、とある企業の御曹司宅で、"婚約者"の役をこなしている最中だ。


藍は、母が経営する"三浦HS(helping service)の派遣社員をしている。

この会社の主軸は、

母:ありさ-社長
父:卓郎ー経理
長兄:雄貴ーBG(body guard:ボディーガード)
次兄:英樹ー弁護士
妹:茉莉花ー特殊メイクアップアーティスト

となっており、

顧客の要望に合わせ、知識と技術・能力を提供する会社だ。

三浦家の家族以外には、各分野のスペシャリストを20名ほど採用している。

三浦家の長女である藍は

"エクストラ(extra)"

と呼ばれる特殊枠のスタッフだ。


きらびやかな経歴を持つ兄や妹と同じように、藍もまた医者やシステムエンジニアといった、会社に利益をもたらす職業につくことを両親から期待されていた。

しかし、

幼い頃から、桁違いのIQを示し、
美人でスタイルもモデル並み、
何でも卒なくこなしてしまう天才児・藍への母の期待値は桁違いのものとなっていた。

子供の頃についたあだ名は、

"AI(artificial intelligence:人工知能)"

"アイ"読みではなく"エーアイ"だ

一度見たり聞いたりした事は絶対に忘れない。

興味のありなしに関係なく、次々に流れ込んでくる情報を処理しているうち、感情が表に出ない鉄仮面

"エーアイ"

と呼ばれるようになっていた。

中学生になる頃には、

音楽、美術、料理、語学、スポーツ、パソコン、演劇すべてにおいて、

卓越した能力を見せはじめた。

日本の教育に限界を感じた母は、
藍を高校からアメリカに留学させた。

母の期待通りの進化を見せた藍は、アリゾナにある某大学のシステム工学部を飛び級で卒業した。

その後、ドイツ、イタリア、スペインの各種専門学校を巡り、21歳で日本に帰国。

満を持して"三浦HS"に就職したのである。


それが、

多彩な技術と知識、気品を身につけた藍の

"extra"

と呼ばれる由縁だ。


"三浦HS"は極秘任務を請け負うことが多いため、必然的に守秘義務を守ることのできるVIPのみが顧客となっている。

もっとも、守秘義務に違反した場合にはべらぼうな違約金が課せられるという約款があるため、必然的に、相応の財力がある人物や企業が顧客となるのだが。


今回"extra"の三浦藍を指名してきたのは、

"倉本エンジニアリング株式会社"

複数の役割を並列してこなす"extra"として、依頼された仕事は

"倉本の周囲に潜む敵の存在" を明らかにすること。

それを突き止めるため、藍は、天音のお屋敷と会社に忍び込むこととなった。



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