その花が永遠に咲き続けますように
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そして三日後。


「あっ、咲ちゃーん。こっちこっちー」

ファミレスに入るとすぐに、入り口の側のテーブル席から荻原さんがひょこっと顔を出して手招きしてくれる。

タイミングの悪いことに今日が日直で、仕事をしていたら少し遅れてしまった。四人掛けのテーブル席には、荻原さん、武入君、白石さんが既にそこにいて、武入君と白石さんが隣同士に座っていたので私は荻原さんの隣に腰掛けた。


「ごめんね。遅くなっちゃって」

「大丈夫だよー。それより、今ちょうど話してたんだけど、聞いてくれる?」

荻原さんはいつものにこにこ笑顔に加え、身体を左右に揺らしていて、どうやらテンションが高い。普段から高い方だけれど。


「あのね、四人集まった訳だし、廃部になった軽音楽部を復活出来るんじゃないかなって思って。正確には同好会になると思うんだけど。部活にするには部員が五人必要になるらしいから」


同好会。それはつまり、学校で活動が出来るということ。
永君がメンバーにいない以上、みんとの樹に何度もお世話になるのはお金が掛かって厳しそうだ。
それならば、学校という環境で練習が出来るのは有り難い。
廃部になったとはいえ、今年の三月までは活動していた訳だから、楽器や機材はまだ使えるだろう。


「でも、同好会にするなら顧問が必要だよな。誰かやってくれる先生いるかな」

武入君のその言葉には白山さんが、


「うちらの担任の藤先生、去年まで軽音楽部の顧問だったみたいよ。頼めばまたやってくれるんじゃない?」

と答える。

そう言えば、前に廊下で私に軽音楽部の話をしてくれた時、先生は少し寂しそうな顔をしていたっけ。もし先生が軽音楽部に未練があるのなら、確かに顧問をお願い出来るかもしれない。
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