溺愛診察室~一途な外科医に甘く迫られています~
プロローグ
私には今も忘れられない……ううん、一生忘れられない思い出がある。

それは十八歳の春――。
親身に相談に乗ってくれていた先生に高校三年間片想いをしていた。けれど想いを告げることなく終わりを告げた卒業式の日。

私は誰もいない校舎裏に呼び出され、生まれて初めて男の子から告白された。

「ずっと好きだった。……俺と付き合ってほしい」

真っ直ぐ見つめられ、ストレートに気持ちを伝えてくれた彼のことを思い出すと、今でもドキドキしてしまう。

正直、嬉しかった。こんな私を好きになってくれて想いを伝えてくれて。

けれど私は当時先生のことが大好きで、片想いのまま終わってしまった恋だけれど、ずっと先生のことが好きで諦められないと思っていた。だから……。

「ごめんなさい」

大きく頭を下げて断った。

彼のことは好きになれない。先生以外の人を好きになれないと思ったから。

そんな私に彼は耳を疑うようなことを言った。
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