クールな次期社長と愛されオフィス
部長の部屋は、最上階のスイートルームだった。

1501室の呼び出しチャイムを押すと、すぐに部長は出て来てくれた。

足を踏み入れた瞬間、あまりの豪華さに思わず立ち止まる。

部屋のほとんどが窓でその全面に小樽の夜景が広がっていた。

部長のマンションさながらの広いリビングとキッチン。

リビングには大きなテレビとソファー、そして広々としたダイニングテーブルが置いてある。

そして、そのテーブルの上にはまた豪勢な料理が所狭しと並べられていた。

「これは?」

「晩御飯だ。アコも疲れているだろう?食べに出かけるのも面倒だし、ルームサービスでディナーを頼んでおいた」

呆然と立ちつくす私に部長は椅子を挽いて座るよう促す。

「あ、ありがとうございます」

豪華なお料理が目の前に広がる。

小さくお腹が鳴った。

「腹減ったな。好きなだけ食べればいい」

部長はそう言いながら、ワインのコルクを手早く空けると私のグラスに注いでくれた。

軽く部長とグラスを合わせて口をつける。

「おいし」

空きっ腹にワインなんて絶対酔っちゃうよな、と思いながらも飲みやすくて芳醇なワインはするすると喉を通っていく。

お料理はどれもおいしく、北海道のいい素材が使われていて、部長と会話を楽しみながらお腹いっぱいになるまで食べた。

「どうだった?例のカフェは?」

部長はワインを飲みながら尋ねる。
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