9章 湊の夢のためにできること


北海道からの出張を終え、また忙しい毎日を送っている。

湊との距離が縮まり、そして彼の励ましもあって俄然ブレンドティの開発に勤しんでいた。

ジャパニーズフードショップに置いてもらうからには、やはり日本色を出した方がいいような気がしていた。
9章 


ゆずのブレンドティは相変わらず人気があったけれど、もう一息という気がしていた。

自分に厳しくなれたのも、湊のいつも自分に厳しい仕事ぶりを見ているからかもしれない。

店で明日の仕込みをしていると、湊が店に入ってきた。

「いらっしゃいませ」

マスターが笑顔で迎える声が店内に響く。

「いらっしゃいませ」

私も湊に笑顔を向けた。

いつものカウンター席につくと、湊には珍しく感情が高ぶっている様子で私に何か言いたげな表情を向けた。

お水を入れたグラスを湊の前に置きながら尋ねてみる。

「どうしたんですか?何かありました?」

「どうしてそう思う?」

湊はそう言いながらグラスの水を少し飲んだ。

「だって、そんな顔してるんだもの」

私はくすっと吹き出しながら言った。

「そうか?俺としたことが」

湊は苦笑しながら前髪を掻き上げた。

「話す前にお腹が空いたからタマゴサンドを頼む」

「はいはい」

私は厨房に戻った。

特別、普段作るのよりも卵を一つ多めに割り入れてボールで溶く。

顔を上げると、湊と目が合う。

湊は優しく微笑んだ。

新聞でも読んでくれてたらいいのに。

ドキドキして、塩加減を間違えそうになり慌てる。

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