秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。

「‥‥‥‥‥。」


自覚した気持ちに戸惑いが隠せなかった。

嘘だろ、今更こんな。



「あ、柊ちゃんどうかな、腫れ引いた?」

そう言って若菜が顔からタオルを外す。

「‥そうだな、もうちょっと冷やせ」

「うん」

「若菜は昔からちょっとでも泣くとすぐ目腫れてすげー酷い顔になるよな」

シュンとする若菜をわざとそうからかうと、見事に引っ掛かった。

再び目に当てていたタオルを外し、
キッと睨まれる。

「ちょっと柊ちゃん。
すげー酷い顔、とかそんな事言う方がひどいよ、すごく悩んでるのに‥!」

涙目になってムキになる若菜が面白くて、思わず吹き出しそうになった。

「ごめんごめん。でもまぁ感動物の映画デートとかは止めた方がいいかもな」

「まぁそうなんだけど‥‥」
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