秘める二人の、叶わぬ恋の進め方。
そう認めつつも、頬を膨らませて不服そうな顔を見せる若菜。
「ごめんって、冗談だよ」
そう言って笑う。
いつもだったら、冗談だと謝って若菜に手を伸ばし、その頭を撫でる。
でも今日はその手が伸ばせなかった。
そんな事に気がついて愕然とする。
「反省したなら、よろしい」
若菜がおどけるように低い声でそう言った。
ハハッと笑い返す顔が思わずひきつる。
「柊ちゃん、
でもその‥今日は本当にありがとう」
「え?」
そう言って若菜が鞄を持って立ち上がる。
「私、もうそろそろ帰るね」
「え、もう帰るのか?」
「うん。課題も全然終わってないし‥‥って、わっ!?」
気づいたら、そう言って出ていこうとする若菜の腕を掴んでいた。