冷酷な王さまは愛し方を知らない

王妃として



「うわぁ!リズさま!本当にお綺麗です!」


セシリアが声を高々に誉めたててくれる。
それが少し気恥ずかしくて苦笑を浮かべた。

アルさまが突然、婚姻の儀を行うと言い出したものだから城内は慌ただしく準備が始められてしまったのだ。



「どうして突然…」

「リズさまが、コハクに構ってばかりだからではありませんか?」

「えっ…?」



準備を仕切ってくれているキースさんが少し呆れ気味にそう言う。
構ってばかりだからっていうのは、どういう事だろう。


「コハクを認めて引き入れたものの、リズさまとコハクの関係を面白く思っていないんでしょう。まぁ、云わばヤキモチというものですね」


確かに、はじめそのことで私は城を出る決意をした。
それでも、アルさまは私を側に戻してくださったし、コハクくんのことだって受け入れてくださった。
でもやっぱり、アルさまにとってはまだしこりの残る問題なのだろうか。



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