気がつけば・・・愛
・・・



「あゆみ・・・
ご主人とあゆみは同じじゃない
けど・・・あゆみも真っ白じゃない
だから・・・」


寛子は言葉を選ぶように
今後の展開を話した


「私が考えていたより
ずっと緩い結果だけど・・・
後でバレることを考えると
ベストでしょう」


慰謝料と財産分与について話す寛子は
夫と彼女の計画を考えると
話し合うまでも無く決着すると笑った

「荷物って引越し屋さんを呼ぶレベル?」

「ううん、トランクと衣装ケース2個」

「え?」

少なすぎと笑う寛子

「寛子に言われてから
荷物を片付けたんだけどね」

衣替えのたびに捨て癖のついた自分
冬と夏でケース2個
それ以上は増やさない

トランクには化粧品や小物類
家財道具一式置いて出るから
なんとも身軽な引越しになる

「慰謝料の為にマンションは
売却することになるはずだから・・・
想いは残さない方が良いわ」

それから、と付け加えるように
一枚の地図を出され

赤丸のついたビルの説明を受けた


「明日10時に迎えに行く」

「それまでに支度しておくね」


寛子の事務所を出た頃には
胸のつかえがスッキリ取れていた


普段通りに
夫との夕食の買い物をして

普段通りに家事を済ませると

普段通りに
自室のベッドで眠った












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