花音が初めて理人に恋心を抱いたのは、彼女が小学校中学年の頃で、2つ年上の兄と理人は高学年になっていた。

そんなある春の日の木漏れ日の中、花音と兄の悠輝は、理人の誕生日パーティが行われる、彼の両親が営む料亭へと向かっていた。

車寄せには何台もの高級車が次々に横付けされる。

そこには今日のホストの料亭主人一家が、様々な客を出迎えていた。

他家のパーティにお呼ばれするのが初めてのこととなる花音は、少々緊張してはいるけれどもウキウキ浮き立つ心を隠せずに、料亭の車寄せに停められた嵯峨野家の車から、ピョンと飛び降りた。

それを見ていた和尚さんならぬ料亭主人一家は、思わずぷっと吹き出した。

顔を真っ赤に染めて挨拶する花音はとても愛らしい。

『こんにちは…』

彼女を猫可愛がりしている兄の悠輝は、自分より背の小さくていつもよりもお洒落した妹の頭を撫でた。

その時どこからかそれをからかう男の子の声がする。

『兄バカかよ。さすが悠輝だね!』

花音が見たその男の子は、楽しそうに悠輝と言い合いしていた。