無感情なイケメン社員を熱血系に変える方法
shot barを出ると、駿太郎は彩月を近くの駅前公園のベンチに座らせた。

自販機で買ってきたお茶を彩月に差し出すと、駿太郎もその横に座る。

「ありがとう」

彩月は、駿太郎からペットボトルを受けとると、ゴクゴクとお茶で喉を潤した。

「お前いつも百合子さんの弟に送ってもらうのか?」

「ううん、二回くらいかなー?帰りが遅くなったときに駅までとかだよ」

「,,,付き合ってんのか?」

「まさか、賢琉は友達だもん」

駿太郎の胸がギュッと痛んだ。その感情が何なのか、この2週間、駿太郎も薄々わかっていた。でも認めたくない。

"嫉妬"だ。

仕事中に彩月が同期の松山と仲良さそうに顔を寄せていたり、若いお客から言い寄られているのを見るたびに、イライラしているのを自覚していた。

彩月が誰にでも優しいことはわかっている。自分だけを相手することはできないことも。

しかし、駿太郎にとって彩月は特別な存在になっていた。

"俺を見て、他の奴を見ないで"

幼い頃から閉じ込めてきた他者への独占欲が、彩月との関係で刺激され始めていた。

駿太郎は唇をギュッと噛み締めて、無意識に彩月の肩に額を乗せていた。
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