処刑バッヂ
関係性
体育館を出てすぐのトイレに駆け込み、あたしは胃の中のものをすべて吐き出していた。


胃は空っぽなのに、吐き気は簡単には治まらない。


顔や手についた血を洗い流しても、全然綺麗になっていない気がして仕方がなかった。


「若菜、大丈夫か?」


トイレの外から涼希の声がして、あたしはようやく水道の蛇口を閉めた。


吐いたことで少しは気分が楽になっている。


けれど、足元はガクガクと震えていて、1人で歩くのがやっとだ。


こんな時にアラームが鳴りはじめたら、きっとすぐに捕まってしまうだろう。


前のアラームが鳴ってから何分くらい経過しただろうか?


もうすぐ鳴りはじめるかもしれない。


そんな不安から、あたしはすぐにトイレから出た。
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